大型マンション“と役員が多すぎる問題”

猫がくつろいでいる光景

役員の質の低下と「自分ごと化」できない住民たち

大型マンションは、戸数が多い分だけ運営基盤が安定している──そう思われがちです。しかし実際には、戸数が多いからこそ生まれる“別の難しさ”があります。その代表例が「役員が多すぎる」という問題です。理事会の人数が10名、15名、時には20名を超えるマンションも珍しくありません。一見すると頼もしい体制に見えますが、実はこれが運営の質を下げる原因にもなっています。

人数が多い理事会では、会議が形式化しやすく、誰が何を決めるのかが曖昧になりがちです。発言しなくても会議が進むため、役員の中に“ただ座っているだけ”の人が増えてしまう。結果として、議論の深さが失われ、重要な判断が先送りされることもあります。役員の数が多いほど、責任の所在がぼやけ、意思決定のスピードが落ちるのです。

さらに深刻なのは、「自分の問題として捉えられない住民」が増えていることです。大型マンションでは住民同士の距離が遠くなり、管理組合の活動が“誰かがやるもの”と認識されがちです。役員に選ばれても、マンション全体の課題を自分ごととして考えられず、受け身のまま任期を終える人も少なくありません。これが役員の質の低下につながり、管理組合の運営力を弱めていきます。

しかし、この問題は住民の意識だけの問題ではありません。大型マンションは構造的に「責任が分散しやすい」仕組みを抱えています。だからこそ、役員の役割を明確化し、専門性を補う仕組みを整えることが重要です。外部専門家の活用や、役職ごとの業務分担の明確化、オンライン会議の導入やマンション管理士の活用など、負担を軽減しながら質を高める方法はいくつもあります。

マンションは“住民の集合体”であり、運営の質は住民の意識と仕組みの両方で決まります。大型マンションこそ、役員の数に頼るのではなく、役員一人ひとりが「自分の住まいを守る主体」であるという意識を持てる環境づくりが欠かせません。人数の多さに安心するのではなく、質の高さで安心できる理事会へ──それがこれからの大型マンションに求められる姿です。

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